特定調停とは、裁判所を利用した任意整理として捉えることが出来ます。
特定調停は、平成12年から施行された比較的新しい制度で、「任意整理を行いたいが、弁護士などへの費用が用意出来ない」ような場合に適していると言えます。
特定調停においても、弁護士などに依頼をして行うことも出来ますが、裁判所が選出する調停委員が仲介をすることになるので、比較的容易に行う事ができます。
その為、通常は、弁護士に依頼する必要は無いと言えます。
この特定調停は、他の裁判所と通した債務整理と任意整理の中間にあたる為、両方の特徴を含んでいます。
例えば、特定調停は裁判所を通しますが、任意整理を同じように官報などの公共のものに記載されません。また、借入の目的が“ギャンブル”や“浪費”だった場合でも、特定調停を行うことが出来ます。
一方、特定調停で作成される調停調書には、返済の金額や期間などの返済計画を始めとする詳細内容が記載されますが、この調書には法的な効力がある為、万が一、返済が遅れた場合には、即座に給与の差押えなどの強制執行の手続きを行うことが出来ます。
●特定調停に必要な資料
特定調停は、任意整理に近い形態ではありますが、裁判所を通した手続きを行うことになるので、主に下記のような資料が必要になります。
・戸籍謄本
・住民票
・給与明細等の所得確認物
・借入に関する契約書
・債務者(申立人)の情報を記載した陳述書
・債権者一覧
・直近の家計表
・資産目録
●費用
特定裁判に必要となる費用は、裁判所によって異なる場合がありますが、概ね下記くらいの費用が必要になります。
・収入印紙 300円
1債権者ごとの金額なので、債権者の件数分の費用が必要になります。
・切手 1,450円
債権者が1社の場合の金額になります。2社目以降は、1社につき+250円
特定調停の場合も、多重債務者などを救済する為の措置なので、さまざまなメリットがあります。しかし、そこに至るまでの経緯を考えると、当然のように然るべきデメリットもあります。
任意整理を行うにあたり、これらのことをしっかりと理解する必要があります。
●メリット
・費用を安く抑えることが出来る
個人での申し立ても可能なので、弁護士に支払うような費用はかかりません。
・破産者名簿などの公的文書に記載されない
裁判所を通して行われますが、任意整理と同じように、官報や市町村役場の破産者名簿などの公的書面に名前が残りません。
・取り立てや返済が一時的にストップする。
特定調停の開始を債権者に通知し協議に入るので、これらの事を一時的にストップさせることが出来ます。
・任意に行う債務整理なので、全ての債権者を対象としなくても良い。
任意整理と同じように、金利の高い業者に対してだけ任意整理を行うなど、特定の債権者に対してだけ行うことが可能です。
・手続きの全てを専門家が行う
裁判所へ行って、申し立てなどの手続きは必要になりますが、交渉などに裁判所の調停委員が仲介するので、法的知識がなくても行うことが出来ます。
・債務の減額や払い戻しが発生します。
特定調停が成立すると、その後の支払いに関する金利がなくなることや、過払いがあった時には、払い戻しにもなります。
・周囲に任意整理をした事実を知られることが比較的低い
裁判所は通しますが、任意整理と同じように情報が外に漏れる可能性は比較的低くなります。
・法的な制限がない
破産などの場合、業務内容によっては仕事が出来なくなる場合があります。任意整理の場合、このような法的な制限が無い為、仕事に支障が出ることは殆どありません。
●デメリット
・和解が成立しない場合がある
任意整理と同じように、一部を除き、法的な拘束が無い為、債権者によっては和解に応じない場合があります。
・担当の専門家の裁量次第
任意に行われる債権整理の為、調停委員の力量や心情などにより結果が大きく異なってきます。
・減額の程度が低い
任意整理と同じように、他の債務整理に比べ、減額できる金額が低くなってしまいます。
・過払い金の請求を別途する必要がある
請求できる過払い金があった場合、別途で訴訟を提起しなければいけません。
・借り入れやローンが極端に出来なくなる
公的なものには記載されませんが、金融業界内のブラックリストには記載されてしまいます。その為、5〜7年はカードも作れずローンなども組むことが出来ません。
しかし、この事に関しては、既に支払いが難しくなっているという事実から、デメリットとは言えないと思われます。また、任意整理の後で同じ事を繰り返さない為にも、デメリットであると捉えるべきではありません。
特定調停の大まかな流れの理解は、特定調停を行うべきかどうかの判断材料にもなりますし、裁判所での手続きを効率よく行うことが可能になります。
●申し立て
裁判所に必要書類を提出する事で、特定調停の申し立てを行います。
裁判所に申し立てをする事で、返済を一時的にストップする事ができ、取立ても止まります。万が一申し立て以後に取立てがあった場合は、違法行為になる為、すぐに裁判所に報告を行う必要があります。
ただし、返済を一時ストップさせる効力などを持つ「受任通知」は、弁護士か認定司法書士しか発行することが出来ない為、個人で申し立てを行う場合には、この限りではありません。
申し立ては、債権者の本社がある地域の管轄裁判所に行うのが原則ですが、複数の債権者に対して、1カ所の裁判所で申し立てを行うことも可能なので、出頭しやすい裁判所で申し立てを行うのが懸命だと思われます。
申し立ては、債権者ごとになる為、債権者の件数が多い場合は、その数だけ申し立てを行わなければいけません。
●第1回調停
調停委員が選出され、調停日が決定されると、特定調停がスタートします。
特定調停は、最低でも2回行われ、第1回目は調停委員と申立人(債務書)の2者による調停になります。
内容は、債務の発生原因や今後の返済計画などの相談となります。
●第2回調停〜
第1回調停の内容に基づき、調停委員、申立人(債務者)、債権者の3者で行われるのが、第2回調停です。万が一、第2回調停で和解が成立しなければ、第3回、第4回と協議が繰り返されます。
また、協議が繰り返されても和解が成立しない場合には、特定調停が不成立をなり、他の方法を選択することになります。
●特定調停の終了
協議の末、和解が成立すると、裁判所から調停調書が届きます。この調停調書は、調停が終了した事を通知すると共に、調停の和解内容が記載されたもので、その内容の通りに返済を開始していきます。
和解内容が記載されている、調停調書には、裁判所での判決と同等の効力があり、万が一、この調書の通りに返済されなければ、債権者は強制執行を行うことができるものです。
最新ニュース